近松門左衛門 『曽根崎心中』『けいせい反魂香』『国性爺合戦』ほか ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 日本の古典)
によって 井上 勝志
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内容紹介 現在も文楽や歌舞伎で上演されている「曾根崎心中」「国性爺合戦」をはじめとした近松の傑作5本のクライマックスをセレクトして収載。全体のストーリーが追えるよう、詳しいあらすじも付いて物語全体が楽しめる! 内容（「BOOK」データベースより） 文豪近松門左衛門が生涯に残した浄瑠璃・歌舞伎約150作から、人生の転機となった5作を取り上げ、その名場面を味わう。平家の一族景清が源頼朝を狙う『出世景清』、遊女おはつと徳兵衛の『曾根崎心中』、外道の法と仏教の争いを背景に男女や親子の愛憎を描く『用明天皇職人鑑』、絵師狩野元信を中心に人間模様が渦巻く『けいせい反魂香』、中国を舞台に明の復興に奔走する人々を描く『国性爺合戦』。江戸のベストセラー揃い。 著者について 1967年生まれ。現在、園田学園女子大学准教授。近松研究所研究員。共著に『近松門左衛門三百五十年』、『浄瑠璃集』(新編日本古典文学全集)ほか。平成19年度日本近世文学会賞受賞。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 近松/門左衛門 江戸時代の芝居作者。井原西鶴・松尾芭蕉とともに元禄の三大文豪といわれる。承応2年(1653)~享保9年(1724)。本名は杉森信盛。越前生まれ。はじめ宇治加賀掾のもとで浄瑠璃を書き、ついで、歌舞伎の作に筆を染め、元禄年間を通じ、多くの坂田藤十郎出演作に関わる。その後竹本座に専属作者として迎えられ、筑後掾、政太夫らのために数多くの浄瑠璃を制作した。絶筆は享保9年『関八州繋馬』。作者の氏神と賞される 井上/勝志 1967年生まれ。98年大阪市立大学大学院後期博士課程単位取得退学。現在、園田学園女子大学准教授。近松研究所研究員。博士(日本文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 続きを見る
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『曾根崎心中』『国性爺合戦』といった近松の代表作を、あらすじと解説、名場面の現代語訳と原文によってコンパクトにまとめた一冊。歌舞伎や浄瑠璃はなかなかとっつきにくいので、このようなビギナー向けの本は十分アリだと思う。この一冊だけで５つもの作品を楽しめるというお得感もいい。ただ、今では使われない言葉が多用されているにも関わらず、注釈がほとんどないので、意味が分かりにくいところも少なくないのがネック。本書を読んで驚いたのが、物語の苛烈さと性愛礼賛である。まず、血なまぐさい話が多い。人が死なない作品は無い。しかも、義理や愛のために死んで行く人達ばかりであり、死に方も一筋縄でない場合が多い。ここら辺はシェークスピアの三大悲劇に近いものを感じた。だが、シェークスピアとは決定的に違うのが、遊女が絡んだ三角形がほとんどの作品の主題となっており、淫媚な世界が醸し出されている点である。これほどまで売春婦が文学で活躍する国もそう多くないのではないだろうか。個人的には、本書の中のお目当ては『国性爺合戦』であった。日本と中国を舞台に繰り広げられる壮大な歴史ロマンであり、果たして面白かった。主人公である国性爺は日本人と中国人のハーフであり、このような主人公を有する本作は日中関係が深化しつつある現在、日中両国でウケそうな作品だと思う。
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