君主論 (まんがで読破)

マキアヴェッリは一般的に「君主は国を治めるためには非道な行いも許される」という少し乱暴な考えを提唱した人物として知られています。しかし本書を読めばそれは一面的な見方だったと分かります。マキアヴェッリは決して「君主の非道な行い」を勧めていたわけではありません。乱世を生き残るには未来のためにある程度現在を犠牲にする必要があるということを言いたかったのだと思います。本書の大半はマキアヴェッリの生い立ちと時代背景が描かれ、最後の20%程度で君主論の内容が紹介されています。ただマキアヴェッリの生い立ちと時代背景は彼が君主論を書き上げる経緯を知るために重要です。マキアヴェッリが生きた時代は同時期の日本の戦国時代と全く同じような戦乱の世です。しかもマキアヴェッリが仕えたフィレンツェは周囲の強国に翻弄される木の葉のような弱小国でした。この戦乱の世を生き抜くためのリーダーの理想像をマキアヴェッリは自らの実体験から導きました。現在の平和そのものの日本からは想像もつかないかけ離れた世界ですが、このような時代を生きる処世術を知る事も有意義だと思います。